とにゃりん。備忘録

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2008年 06月 17日

ゴールドベルク・レクチャー

。。。
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梅雨の晴れ間が続いていまちね。


とにゃりんでち!
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いつも着ている服は同じに見えるかもしれませんが今日は前にファスナーがついていまち!


お天気のよかった先週の土曜日14日に
バッハ「ゴルトベルク変奏曲」- 野平一郎の音楽塾
へ行ってきました。

場所は新宿の朝日カルチャーセンター(住友ビル)。
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でかいでち!


こんな方がいらっしゃいます。。。
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玉ちゃん、だそうです。
江戸時代、太田道灌を救ったと言われているネコさんです。


やはりピアノを弾く方が多いのか、どういう方々が集まったのやらわかりませんが、
結構盛況です。
「ゴルトベルク変奏曲」の正式名称は
「2段鍵盤付きクラヴィチェンバロのためのアリアと種々の変奏」
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アリアだけでもいつか弾いてみたい、と思うものの。。。
3声だから無理かなあ。
アリアから始まり、30もの変奏を経て、またアリアへ戻る構成です。
詳しい構成図は、やはりこの渡邊順生さんのプログラム解説が便利!
(1)ソナタ又は組曲(舞曲)
(2)デュエット(技巧的。鍵盤も二段使う)
(3)カノン
この(1)〜(3)×10で30変奏ですが、
最後の第30変奏のみ、「クオドリベット」と呼ばれる、2つの民謡のテーマを組合わせたものになっています。
、、、などという込み入った話は「ゴルドベルク変奏曲」についての解説本などに譲るとして。

いずれにしても、この曲は「カノンに支配されている」そうです。
で、この日は特にカノンを中心に解説してくださいました。
カノンというのは、、、
「静かな湖畔の森の影から、、、」
とか
「かえるの歌が聞こえてくるよ、、、」
という、あれですね。

バッハは相当「数」にこだわる人だったそうです。
この曲の変奏が3×10でできていることでもそれはわかります。
カノンも第3変奏では同度。第6変奏では2度、、、第27変奏では9度の構成。
ここらへんから少し脱線。
バッハは最後の10年間で、この「ゴルドベルク変奏曲」、「音楽の捧げもの」、未完のフーガの技法」を書いています。
「ゴルドベルク変奏曲」と「音楽の捧げもの」の間は少し空いているそうですが、
最近「14のカノン」という曲を書いている事が判明したそうです。
「14」とは半端な数字ですが(ふつうは調によって8とか12とか24とか)これは
バッハの名に由来します。
すなわちアルファベットの順番からすると、
B=2
A=1
C=3
H=8
足すと14。
著名な音楽家で構成される「ミツラー協会」の会員番号14をゲットするために入会時期を少し遅らせたとかいうハナシもあるそうです。
。。。
いやはや。
。。。
で、このカノンですが、カノンのあらゆるパターンを試みています。
楽譜を垂直軸でリフレクトする「逆行」
楽譜を水平軸でリフレクトする「反行」
「逆行の反行」なんてのもあります。
おまけに音価を半分にしたり2倍にしたり。。。
テキトーにつくるとかなり滅茶苦茶になりますが、
これは普通に聞いてもきちんと音楽的になっている様です。
野平さんが少し弾いてくださいました。

作曲とは、自由にできた方が良いのかもしれませんが、
こんな制約を自らに設けて自由と束縛のせめぎあいの中で作り上げるという行き方もあるそうです。

こういう解説も面白かったですが、何と言っても興味深かったのは
野平さんが「ゴルトベルク変奏曲」を弾くに際しての心情。
何しろ長い曲ですから、冒頭のアリアを弾く時には大海原に航海する様な心境だそうです。
ものすごい孤独感を感じるそうです。
最後に同じアリアを弾くことは考えないそうです。
でも色々な方の演奏を聞きましたが、最後のアリアに到達した時の感じは一様に何とも言えない平静を感じます。


講義の時のメモ。
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お決まりのCDにサイン!
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「ゴルトベルク変奏曲」の変奏は、左手のベース音の変奏ですが、
野平さんの「ゴルトベルク変奏曲」の最後のアリアはそれに敬意を表して、
ベース音が強調されています。
こういう手法はドビュッシーの前奏曲集の「沈める寺」でも試してみたそうです。
大伽藍がどおっと水底に沈んで、最後はゆらゆらと水と一体化する様。
そうそう、野平さんのその演奏をかつて生で聞いてその光景が目の前に浮かんで演奏を聴きながら涙したのはそういう手法のなせるワザだったのか!


1975年に直筆譜がみつかって新たにテンポについての書き込みなども判明したとか。
歴史とは変わっていくものです。



まわりのビル。
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都庁。
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東京カテドラルの設計者と同じ丹下健三氏。


さらに。
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玉ちゃんの後ろ姿と都庁。


建築中の不思議な建物。
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このへんはバイク置き場。
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ちょっとしたスペースがあるのでよくサンドウィッチなど食べて過ごしたりしております。
この日はレクチャーの後、木管を調整に出したのですが、その待ち時間の間ここでのんびりしていました。

by tnysatcmo | 2008-06-17 23:38 | コンサート・ライブ


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